2014年12月16日

戦車と対戦車榴弾

こんにちわ。 海外実弾射撃コースを提供しているPhilshootingです。

 今日は映画の話題を書いてみたいとおもいます。
 日本では11月末からFURYというブラッド・ピット主演の戦争映画が上映されているとおもいます。フィリピンでは1月半以上前から上映されていたのですが、上映期間が短かったので見逃していたところ、友人からDVDを借りることができたので見てみました。
 (フィリピンでは、最新作が日本より6月前頃から上演され、500円程度で見ることができます。この映画は割りと日本は上映が早かったおもいます。)

 FURYは、第二次世界大戦のヨーロッパ戦線の末期を舞台にした映画で、戦争の悲惨さを映画にしたものだとおもいますが、自分としては、歩兵と戦車の共同攻撃、戦車同士の戦い、夜間戦闘などなど、戦闘場面の迫力に結構、圧倒されました。
 主役は、FURYと呼ばれるシャーマン戦車と5名の乗員なのですが、次々に最前線での戦闘にかりだされます。

戦車と対戦車榴弾
(インターネットからの写真を掲載)

 あるときは、歩兵と共同(歩戦共同)で、ドイツ軍の防御地域を戦車で圧倒しながら攻撃します。その時の戦闘で曳光弾(Tracer)を使って、高速弾道がわかるようにしており、戦闘シーンがよりリアルに描写されます。

 あるときは、待ち伏せのタイガー戦車から攻撃をくらって、4両中3両もやられてしまい、シャーマン戦車の徹甲弾ではタイガー戦車の砲塔部に当たっても跳ね返されて、役に立たないことが描写されていました。

戦車と対戦車榴弾
(インターネットからの写真を掲載)

 最後の戦闘では、地雷を踏んでしまい、戦車のキャタピラがやられて動けなくなったところへ、ドイツ部隊300名と遭遇し、最後の戦闘をしますが、ブラッド・ピットをはじめ4名がやられてしまいました。
 まさに鉄の棺桶と呼ばれる戦車の中で最後を迎えたわけです。

 この映画を見て、戦車と砲弾についていろいろと考えさせられました。
 戦車の装甲と弾には、詳しくは書きませんが、追いかけごっこのような歴史があります。

 初期では、敵の弾から防御するために装甲をもった戦車が現れ、その後、その装甲を貫通するためにさらに強力な徹甲弾が生まれ、さらに装甲を厚くして徹甲弾に対抗し、、の繰り返しで、、
 そのうちに成型炸薬を使った弾の貫徹力ではない炸薬の爆発圧力とエネルギーで装甲を貫徹する対戦車榴弾(HEAT弾)が現れ、歩兵でも戦車に対抗できるようになりました。

 FURYの時代では、まさにこの端境期で、戦車の主力砲弾は徹甲弾で、対戦車榴弾(HEAT弾)はできたばかりです。対戦車榴弾は、バズーカ、RPG7など誰でも知っているロケットランチャーから発射できる弾で、歩兵が撃つことができます。
 映画の中では、ドイツ兵がシャーマン戦車に圧倒されるのですが、今であればRPG-7などで簡単に駆逐できるんだろうなおもったしだいです。

戦車と対戦車榴弾
(インターネットからの写真を掲載)

 対戦車榴弾は、炸薬を特殊に成型してモンロー効果と呼ばれるジェットエネルギーで装甲を抜くもので、現代のものは数十センチの貫徹力があります。当時のシャーマン戦車の装甲は厚いところで15cm程度だったと書いてあるので軽く抜けるとおもいます。

 映画の最後の戦闘では、ドイツ兵が目新しいHEAT弾を持ち出して、性能がまだ悪いのか、FURYをやっと打ち抜くシーンはありました。

 HEAT弾は、弾に回転を与えるとその効果は激減しまうので、ライフル(線条)を切ってある当時の戦車砲から発射するとあまり効果はありませんでした。(タイガー戦車ではHEAT弾もあったようです。)

 その後、ライフルを切ってある砲でも弾の外側だけ回転するリング付きのものが現れたり、ライフルがない滑空砲が現れて、戦車から有効なHEAT弾が撃てるようになりました。
しかし、その後、装甲も複合装甲や防護柵がでて、戦車に対しては、HEAT弾が有効でなくなってしまい、今の主力は、やはりAPFSDS(APDS-FS)のような針状の硬くて鋭い徹甲弾となっています。


 ざっと書いてしまいましたが、戦車の装甲と砲弾には、長い歴史があるわけです。
 FURYも基礎知識を持ってみると興味深く見ることができるとおもいます。



 Philshootingでは、年末年始もコースを開催しています。いろいろなプロモーションもしていますので、まだ、ご予定のない方は、ぜひコースへ参加してみてください。




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Posted by philshooting  at 08:00 │兵器一般